

私は留学に関する記事を書いているため、“これから留学を考えている学生・その親御さん”からこのような質問を聞かれます。
この答えを一言で言うならば、あなたの留学する目的・時間とお金・英語力によって語学学校の必要性は異なります。
もしかしたらあなたは語学学校に行った方がいいかもしれませんし、直接大学に入学した方が良いかもしれません。
なので一概に、”大学に入学する前には語学学校に行くべきだ”とは言えないんです。
なぜ人によって最適のルートが異なるのか、今回の記事ではアメリカに留学中の現役大学生、卒業生、そして筆者の私の経験談から解説します。
今回協力してくれたのはこの方
遠藤 巧也(えんどう たくや)さん
桐蔭学園高等学校を卒業しネバダ州立大学ラスベガス校(UNLV)に進学。現在はホテルマネジメント学科を専攻する大学3年生。
伊東 慧吾(いとう けいご)さん
アスレチックトレーナーになるため高校卒業後にラスベガスの短大に留学。その後4年制大学に編入し、アスレチックトレーナー学部を卒業。現在はATとしてアメリカで活躍。
もくじ
アメリカの大学に入学するためには?
アメリカの大学に入学するには出願書を出し、加えて以下の書類の提出、テスト結果で入学の合否が判断されます。
- 高校の成績表
- 高校の卒業証書
- エッセイ
- 英語力テスト(TOEFL, IELTS, SAT)など
英語力が足りない留学生に向けて、学校によってはESL Bridge Programと呼ばれる英語だけを勉強するプログラムが存在するので、このプログラムに入れば英語力テストの点数が低くても、語学学校に通わず入学できます。
しかしこのプログラムの費用は語学学校と比べ2倍以上高いため、英語力が足りない多くの日本人留学生は、日本または現地の語学学校に通ってから、大学入学を目指します。
語学学校には“英語に自信がない人”や、“大学に入学したくても英語力が足りない人”、”観光のついでに英語を勉強したい人”など様々な目的をもった学生が通っています。
自分の英語力で直接大学に入学できるのか?
英語力が足りなく語学学校に行かなくてはいけないのか?
まずはこれらを調べるところから始めましょう。
大学に入学するまでのルートと費用
今回紹介する3人は、別々のルートを経てアメリカの大学に進学しました。
それぞれのルート、入学までにかかった費用を見ていきましょう。
アメリカの大学へ進学したパターン

留学ルート
高校卒業→ ニチイ学館(エージェント)→ UNLV ESL Program→ UNLV 一般教養
入学するまでに掛かった費用
エージェント | 約30万円 |
UNLV ESL Program (4ヶ月) | 約120万円 |
生活費(学校寮) | 約54万円 |
合計 | 約204万円 |
月平均 | 約51万円 |

語学学校を経ずに大学に入学したものの、英語力が足りなかったので1学期だけESLのクラスを取り、英語テストに合格したので、次の学期から一般教養の授業を取りました。
海外の語学学校へ進学したパターン

留学ルート
高校卒業→ JTB(エージェント)→ ELSラスベガス校(語学学校)→ College of Southern Nevada 一般教養
入学するまでに掛かった費用
エージェント | 約30万円 |
ELS (9ヶ月) | 約160万円 |
生活費(ホームステイ+ルームシェア) | 約100万円 |
合計 | 約290万円 |
月平均 | 約32万円 |

9ヶ月間語学学校に通った後、英語力テストを受けずに短大に入学しました。
日本の語学学校へ進学したパターン

留学ルート
高校卒業→ NIC International College in Japan(日本の語学学校)→ ネバダ大学リノ校 夏季講習→ College of Southen Nevada 一般教養
入学するまでに掛かった費用
NIC International College in Japan(1年) | 約200万円 |
生活費(東京一人暮らし) | 約120万円 |
ネバダ大学リノ校 夏季講習(3ヶ月) | 約65万円 |
合計 | 約385万円 |
月平均 | 約26万円 |

東京の学校で1年間勉強した後、アメリカの大学の夏季講習に参加してから、希望していた短大に進学しました。
留学時のサポート
アメリカの大学に通うために必要なのは、応募書類やテストの結果だけではありません。
- ビザをどうやって取るのか?
- どこに住むのか?
- どうやって生活するのか?
大学で勉強する以前に、別の国でどうやって暮らすのか知る必要があります。
語学学校へ行けばこういったサポートをしてくれる学校がほとんどですが、直接大学に留学する場合は、エージェントを通した方が様々なサポートをしてもらえます。
こちらは私たちが実際に語学学校・エージェントから受けたサポートの一部です。
巧也さん (ニチイ学館) | 慧吾さん (JTB+ELS) | ムネ (NIC) | |
ビザ取得 | ○ | ○ | ○ |
入学手続き | ○ | ○ | ○ |
航空券取得 | ○ | ○ | ○ |
編入手続き | ○ | ○ | × |
銀行口座開設 | × | ○ | ○ |
住宅の手配 | ○ | ○ | ○ |
卒業後の就職活動 | × | × | ○ |
1週間のスケジュール
続いては3人が通ったESLプログラム、または語学学校での1週間のスケジュールを見ていきましょう
- 巧也さんのスケジュール(UNLV ESL Program)

全部で4つのクラスに分かれ、多くても10人しかいない少人数制のクラスでした。
- 慧吾さんのスケジュール(ELS Las Vegas)

お昼休憩を挟んで、1日最後のボキャブラリーは大人数での授業でした。
- ムネのスケジュール(NIC International College in Japan)

授業は2クラスしかないものの、先生から出される毎日の宿題と予習に追われ、1日中図書館に籠もって勉強していました。
各ルートのメリット・デメリット
巧也さん (語学学校なし) 大学のESLから入学するルート
メリット
- 編入手続きをしなくて良い
- 難しい学部に入りやすくなる
- 大学生活にすぐ慣れる
デメリット
- 大学のESLは学費が高い
こんな人にお勧め
- お金に余裕があり、出来るだけ早く卒業したい人
- 英語力を早く伸ばしたい人

大学で真面目に勉強していれば自然と英語力も伸びてくるので、英語力よりも新しい環境に飛び込む勇気が大切です。


慧吾さん 現地の語学学校から入学するルート
メリット
- アメリカ人が話す英語を聞き取れるようになる
- 英語を話したい人が集まっているので、英語を話す機会に恵まれている
- トッフルの基準点に達していなくても大学に入学できるシステムがある(※学校によって異なる)
デメリット
- 語学学校に通う目的が生徒によって違うので、モチベーションを保つのが大変
- 授業のレベルが簡単なので、大学に入ってからが大変
こんな人にお勧め
- 高校を卒業して早く日本を出たい人
- 出来るだけお金を掛けずに英語力を伸ばしたい人
- 海外で生活出来る自信のない人
- 大学に入学する前に英語力を伸ばしたい人

語学学校は留学生ばかりなので他国との友達も出来やすく、英語を話す機会に恵まれています。


ムネ 日本の語学学校を卒業して入学するパターン
メリット
- 大学を卒業するための勉強法を学べる
- 何かを成し遂げたいと言った、意識の高い人が周りに集まりやすい
- 学校の先輩が現地でサポートしてくれる可能性がある
デメリット
- アメリカ人の話す英語のスピードに慣れるのに時間が掛かる
- 大学の卒業が遅れる
こんな人にお勧め
- 英語上達だけでなく、英語を使って何かを成し遂げたい人
- 英語力に自信がなく、留学前の準備をしたい人
- 膨大な量の宿題・勉強をこなす自信のある人

アメリカの大学を卒業するのは大変だと皆言いますが、卒業してみて私の語学学校の方が勉強量はハードでした。


まとめ
これまで3人の留学ルートを紹介しました。
人それぞれルートが違い、“語学学校は必要ない”や“語学学校はいくべきである”といった答えはありません。
あなたの留学する目的・時間とお金・英語力によって、大学入学までの最適のルートは異なるため、よく考え留学経験者からアドバイスをもらいましょう。
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