基本的に留学生がアメリカで合法で働くには、大学のキャンパス内である必要があります。
カフェのバリスタや図書室で本の整理など、学校内でも様々仕事に就く事ができますが、日本人留学生にもっとも人気があるのがこの日本語のチューターです。
大学内で使われるチューターとは教授の助手・アシスタントのような仕事で、生徒がクラスでわからない事や質問があった時に彼らの勉強の手助けをする役割です。
アメリカの大学でも第二ヶ国語を取ることはほとんどの専攻で必須になっており、スペイン語、フランス語に続いて日本語は人気があります。
実際にネバダ州立大学ラスベガス校で日本語のチューターをやっていた私が、どうやってチューターになったのか、またチューターになるメリットを紹介します。
もくじ
教授に連絡する
日本語のチューターになるためには、その大学で日本語を教えている教授に連絡し、直接会って自分がチューターをやりたいことを伝えましょう。
教授との話の中で、日本語のチューターに空きがあるか、どのくらいトレーニングが必要かなどチューターになる為に必要な事を教えてくれます。
今後の流れをスムーズにする上でも、最初に日本語の教授に話してみることから始めましょう。
授業に参加する
日本語のチューターに空きがあった場合でも、すぐにチューターになることは出来ません。
日本語を話せるのと日本語を正しく教えるのは別物ですので、教授が自分を帯同し教えているクラスを見学しながら、教授がどのように教えているのかを学びます。
私たち日本人は幼少期のうちから日本語を学び、生活の中で新しい語彙や文法を学ぶ事が多い為、実際に日本語をどう学んだかを覚えていません。
日本語の授業を受けると驚きの連続で、改めて知っている事と教える事は違うことに気付かされます。
自分が取っている授業の合間に日本語の授業に参加する形になるので、少し負担は増えるかもしれませんが、日本語チューターになるためには仕方ありません。
チューターに応募する
1学期を通し授業に参加し、教授との仲も深まったと思いますので推薦状を書いてもらいましょう。
この後は実際に働く場所(チュータリングセンター)で面接を受け、日本語のチューターになれるかどうかが決まります。
私は他の日本語チューターからも話を聞きましたが、日本語の教授が推薦状を書いてくれているのであれば、99%合格するのでそこまで心配する必要はありません。
ただ面接する際に必要書類を提出する必要があります。
私が通っていた学校では以下の書類が必要でした。
- I-9 Employment Verification
- Personal Data Sheet
- W-4 Form
- Voluntary Self Identification of Disability
- SSA-1945
- Proof of I-9
- Government Issued Identification
- Work Authorization Letter
実際に通う学校によって必要書類は違うので、説明は省きます。
しかし一番下のWork Authorization Letter(労働許可状)は留学生なら誰もが学校側からもらわなければなりません。
留学生であれば必ず学校にはInternational Student Centerがあるので、ここに問い合わせてみましょう。
チューターとして働く
振り落とすための面接ではなく、あなたがどのような人かを知るための面接なのであまり緊張しなくても大丈夫です。
晴れて日本語チューターとして合格した後は、自分のスケジュールを提出し、チューターとして働き始める事が出来ます。
ここからは日本語チューターになることのメリットを紹介します。
働きたい時間に働き、お金をもらいながら勉強が出来る
学校によってルールは違いますが、自分の働くスケジュールは自分で決める事が出来ます。
「クラスが水曜日の12時から4時までないからこの時間に働こう」
と言ったことも可能で、学校側も学業が本業だと分かっているため無理にスケジュールを組まれる心配がありません。
また時給も学校によって違いますが、私が通っていた大学では時給$15でした。
ネバダ州の最低賃金が$8.25なのを考えると、この金額は破格とも言えるでしょう。
正直なところ日本語はあまり人気がないため、質問をしに来る生徒が少ないですが、それでも自分のスケジュールの間はチュータリングセンターにいなければいけません。
そこで、生徒が来るのを待っている時間を使って自分が取っているクラスの勉強が出来るのです。
時給$15をもらいながら、自分の勉強が出来る。
もちろん生徒が来た際には、自分の勉強をやめ生徒の手助けをしますが、それでもこんなにいい仕事は学校中探してもそうそうないでしょう。
自分も日本語を勉強できる
私たち日本人は、日本語を話せるだけであって日本語を正しく学んだ人は多くはないのではないかと思います。
実際に私がチューターをしていて、生徒からの質問の中に、「は」と「が」をどう使い分ければいいのか聞かれたことがありました。
皆さんも少し考えて見てください。
「〜は」と「〜が」はどう使い分けるのが正しいのでしょうか?
私はその場では自信がなかったため、日本語の教授に自分の考えが合っているか聞いてみることにしました。
文には大きく分けて、名詞文、形容詞文、そして動詞文の三つがあります。
例)鈴木さんは学生だ。(名詞文)
鈴木さんはやさしい。(形容詞文)
鈴木さんが来た。(動詞文)名詞文と形容詞文には「は」を使いますが、動詞文には「が」を使います。
「が」と「は」を入れ替えることも出来ますが、その場合は意味が変わります。
基本的に、名詞文と形容詞文には「は」を使い、動詞文には「が」を使う。
以上が私の考えでしたが、教授からは「鈴木さんの説明は間違っているので、学生にはそう説明しないで下さい」との連絡が来ました。泣
教授からの説明は以下の通りでした。
まず、例の3つ目の動詞文ですが、「鈴木さんが来た」は状況によって「鈴木さんは来た」でも可能です。
それから、名詞文・形容詞文でも「が」になることがあります。
例えば、誰かが鈴木さんを探している時(「鈴木さんはいますか?」)、「はい、私が鈴木です。」というように、「は」ではなく「が」ですよね?
なので、動詞文の場合のみ、「が」を使うということでは絶対にありません。
むしろ、基本は、動詞も「は」です。(例:私は、今日7時に起きました。 ここは「が」ではないですよね?)
入れ替えができる時もありますし、その場合は、どんな時に「が」を使うか「は」を使うかは、状況によって変わってきます。
なので、初級の学生には、基本、主語(英語ではSubjectですが、日本語ではTopicと言っています)には、「は」を使うことを大前提として、その他の場合で、「が」になる場合を、段階をおいて教えています。
クラスのレベルにより「が」の使い方を分けて教えているので、「が」か「は」のどちらを使うべきか分からない時は、その学生を教えている教員に直接聞くように伝えて頂けますか。
さすが日本語教育・言語学を勉強された教授だけあり、日本語の文法を熟知しています。
ここまで丁寧に説明して頂けると、どちらが学生なのか分からないですね。
日本語のチューターをやっていると、日本語を学ぶ・教えるのがどれだけ大変か、自分の母国語をどれだけ知らないか気づかされます。
友達が出来る(でも彼女は出来ない)
やはり日本語を授業外で勉強しに来る生徒は、それだけ日本・日本語に興味がある学生が多く、口調が優しく話しやすいのが特徴です。
大阪への留学経験があり大阪弁が堪能な学生や、日本に行ったことはないがアニメで日本語を勉強した学生、これから日本に旅行する予定の学生などチュータリングセンターには様々な学生が勉強しに来ます。
彼らもクラス以外で日本語を話したいと思っていますし、出来れば日本人と日本語を話したいと考えているのではないでしょうか。
私たちが、日本人と英語を話すよりもアメリカ人と英語を話した方が、英語が上達すると思っているのと同じ感覚でしょう(実際にそちらの方が言語の上達は早いです)。
クラブやサークルに入る事を別として、アメリカの大学で勉強ばかりしていると、当然ながら友達というのは中々出来ません。
私も今振り返ってみると、学生時代に仲良くなった友達の多くはチュータリングセンターで出会った学生が多かったです。
特に仲良くなったアメリカ人の学生とは、一緒にルームシェアをしたこともあります。
ですが、一応チュータリングセンターでは自分が先生で相手は生徒という立場なので、彼氏・彼女の関係に発展する事は禁じられており、見つかり次第解雇される可能性があるのでご注意下さい。
私はそんなルールがなくとも彼女が出来る気配すらありませんでしたが。泣
まとめ
- 日本語チューターになるためには、まず日本語の教授に相談し、空きがあるかを確認する。
- 教授が帯同し、授業見学をすることで学生がどのように日本語を学んでいるのか、またどのように教授が教えているのかを学ぶ。
- 教授に推薦状を書いてもらい、チューターに応募。基本的にここまでくれば落ちることはない。
- 日本語チューターになることで、自分の空いた時間にお金を稼ぐことができ、自分も日本語を勉強し、多くの友達が出来る。
皆さん、日本語チューターについて紹介しましたがいかがでしたか。
- アメリカで仕事をしたい
- 日本語教育に興味がある
- 友達を作りたい
などチューターになる動機は様々かと思いますが、私の動機は不純していて、「日本語に興味のあるアメリカ人の彼女が欲しい」でした。
半年間やりましたが彼女が出来る気配すらなく、結局チューター生活を終えました。
やはりモテない男は日本語に興味がある子・ない子に関係なくモテませんね。笑