This is the best research paper among all the students in my classes.
It is educational and inspirational. – Julie MacDonald
あなたのリサーチペーパーは、今学期私が教えている生徒の中で1番の出来です。読んでいて勉強にもなるし、周りの人を奮い立たせるような内容でした。- ジュリー・マクドナルド
今年も早いもので11月となりました。
アメリカの大学生は12月中旬にある期末テストに向けて、着々と準備を進めています。
“まだ試験まで1ヶ月以上あるのに今から準備を始めるの?”
そう思われた方も多いのではと思いますが、アメリカの期末テストは大きく分けて3つに種類が分かれます。
テストのみのクラス
リサーチペーパーなどのレポートのみのクラス
レポートを提出し、さらにテストもあるクラス
レポートと言っても簡単なものではなく、クラスで学んだことを全てまとめる研究論文みたいなものが多いため、1-2週間では質の良いレポートが出来ないのです。
なので早い人は1ヶ月前くらいからその作業に取り掛かります。
私も留学最初の年に取った英語のクラスのリサーチペーパーは1ヶ月前から準備したのを覚えています。
それもそのはず。
以前の記事“アメリカの学生がクラスを取るときに使うサイト“Rate My Professor”とは?”でも紹介しましたが、英語のクラスの先生は採点が厳しいと有名なジュリー先生。
この先生のクラスでは、アメリカ人の学生も中々良い点を取れない中、私のリサーチペーパーは100点を頂きました。
今回はなぜ留学生でも100点を取れたのか、当時のリサーチペーパーを使って分析したいと思います。
もくじ
忘れてはならない基礎的なこと
実際に100点をもらったリサーチペーパーがこちらです。
今回は“あなたの人生で一番悩んだこと、またそれを解決するにはどうするのが1番良いか”という課題でした。
私のレポートは“True Life I Stutter(吃音症の人生)”というタイトルですが、実際に私は幼い頃から吃音症(言葉を喋るときにどもってしまう)で悩み、その悩みをどう克服していったかという内容です。
まず100点を取るにあたって重要なのは、“先生の指示を聞く”と言うことです。
当たり前の様に聞こえますが、これが出来ていない学生(特にアメリカ人)がほとんどです。
ワードのフォーマット
ページサイズ
A4なのか、別のサイズなのか
余白
標準なのか、通常よりも狭めなのか
段落
行間は1ずつなのか、2行分あけて書くのか、それとも決められた数値の間隔があるのか
書体
Times New Roman (一番使われる書体)、Century, それとも他の書体なのか
文字の大きさ
11, 12, それとも決められていないのか
文字数
1500文字以内、3ページぴったし、1ページ以上2ページ以内など、
ヘッダー
名前、ページ数など
書き出し
- 自分の名前 (Hiromune Suzuki)
- 先生の名前 (Professor Julie MacDonald)
- クラスの名前 (English 113)
- レポートの提出日 (December 10, 14)
これら順番、書かなければ行けないことは全て先生によって違い、先生の指示に従わなければなりません。
引用
レポートを書くに当たり忘れてはならないのが、その情報をどこから持ってきたのかという引用です。
大学のクラスでは“Wikipedia”や最後のURLが“.com”で終わるサイトからの引用が禁止されています。
Wikipediaは誰でも記事を書き直せますし、.comで終わるURLは商用のサイトが多いため、書いてある内容の信憑性が薄いと判断されます。
逆に本の内容、学校のオンラインデータベースからの情報、.orgで終わるURLは専門家が書いた内容が多いため、信憑性は高いです。
文章中の引用は“”でくくる事を忘れずに。
実際に私のレポートでいうとこの部分ですね。
一見簡単な様ですが、指示が先生から出ているにも係わらず、それに従わない生徒がアメリカではほとんどです。
先生からの指示を守らないために減点される生徒がほとんどですので、もったいないミスをしない様にしましょう。
文章の構成を考える
ワードのフォーマットなど基礎的な部分が整ったら早速文章を書いていくわけですが、ここでやっては行けないのがただ闇雲に書いていくこと。
こういったレポートを書く時には、必ずといって良いほどアウトライン(大まかなあらすじ)を先に作る事をオススメします。
アウトラインを作ることが2度手間だと感じるかもしれませんが、アウトラインを作ることにより、文の内容が段落ごとに重複せず、まとまったレポートを書くことが出来ます。
大学ではワードで5ページ以上のレポートを書くことが多いため、私も必ずといって良いほどアウトラインを作ってからレポートを書いていました。
実際に私のレポートがどの様な構成になっているか見ていきましょう。
第1段落:悩みの告白
私の悩み“吃音症”というものを物語口調で説明しています。
小さい頃からどもりがあったこと、それによって笑われて辛い思いをしたこと。
悩みを克服しようにも、克服する方法がわからなかったことなどが書かれています。
ここでも引用(黄色い部分)を入れていますが、所々に引用を入れると専門家からの意見が増えるので、自分の文章の信憑性が増します。
リサーチペーパーは日本で言う研究論文なので、どんどんプロからの意見を入れて自分の文章に厚みを持たせましょう。
第2段落:吃音の定義
ここで注目して欲しいのは、(辞書によれば)吃音症というのは出だしの言葉をうまく喋れない事というように、辞書による吃音症の定義を書いている点です。
吃音症と言われてもわからない人もいるので、リサーチペーパーでは最初の定義から書くことが重要です。
読むのはもちろん先生ですが、何も知識のない人に向けて書くことを意識しなければなりません。
その定義を示した上で私は、吃音を持った人の悩み、なぜ吃音を持つことが辛いのかと言う事を書いています。
ここで注意して欲しいのが、“第三者の視点で書く”ということです。
基本的にリサーチペーパーはあくまで“研究論文”なので、主観(“私”や“あなた”)口調で書いては行けないというルールがあります(今回は私の悩みと言うテーマなので、主観口調で書いていても大丈夫でしたが)。
第3段落:吃音の歴史と統計調査
歴史的事実を書く上で大切なのが、引用です。
ここで引用(言い換えれば証拠)がなければ必ず減点されてしまいますので、ご注意を。
According to ~(何々によれば)などの言葉を使うと説明しやすいですね。
この段落では、吃音の歴史、統計調査を元にした観点で話しています。
世界中にいる吃音を持った人の数を書く事で、悩んでいるのは私だけではなく多くの人が悩んでいる事を強調しています。
第4段落:吃音症の解決方法
リサーチペーパーも中盤に差し掛かるところで、どうやって吃音を克服するのかについて案を出していきます。
ここでは多くの吃音者がグループセラピーという手段で吃音を克服していく様子を書いています。
あくまでこの段落は“他の人”がどうやって克服するのかを書いていきます。
今回のテーマは“自分”がどうやって克服したかですので、大事なトリはまだ取っておいて下さい。
こういったレポートは文字数も決まっているので、文字を少しでも稼ぐために他の人の解決策というのは使えますし、他人の解決策を先に述べる事で自分の解決策との比較をすることができます。
そこで自分の解決策の方が斬新なアイディアだと、レポートにも面白みが生まれるのです。
第5,6段落:自分の解決策
ここが今回のリサーチペーパーのフィナーレ、自分がどうやって吃音症を克服したかを書いていきます。
全て1つの段落で書くと長くて読みにくいため、第5,6と段落を分けていますが全て自分の解決策を書いています。
先生が読みやすい様に、できるだけ各段落の長さは揃える方がいいですね。
私はこの黄色い段落で、どもるのは悪いことではなく、それを含めての自分なんだと認めることが重要だと言う切り口で書いていきます。
なんで周りと同じじゃないとだめなのか、吃音があることで得している部分もあるはずだから感謝するべきだと続きます。
私も実際に言葉を喋る時にどもるがコンプレックスでしたが、考え方を変え(どもってもいいじゃないか)、それを受け入れることで人生が楽しくなりました。
さらに人生をポジティブに生きることで、自然とどもることも減っていくのです。
私の克服法は吃音症を治すことではなく、自分の考えを変えることで不思議とどもらなくなっていくというものでした。
このように実体験を話すと、文章にユニークさ、面白みが生まれ、読んでいる先生を退屈させません。
第7段落:自分の解決策の肯定
あくまで今回のテーマは“悩みに対しての1番良い解決策”なので、自分の解決策を書いて終わりでは行けません。なぜ自分の解決策が他の解決策よりも良いのかを書いて下さい。
そういった意味でも、他の解決策を提示しないことには比較もできませんので、必ず自分の解決策の前に提示して下さい。
やはり自分の解決策しか紹介しないと、なぜ他の策よりも優れているのかを説明できないため、文章に説得力がなくなり、満点を取ることは難しいでしょう。
第8段落:まとめ
必ず最後はリサーチペーパーのまとめをして下さい。
ここで大切なのは、今まで段落で書いてきたことを短い文書でまとめること。
多い間違えが、ここで今まで説明して来なかった事を書く事です。
あくまでもまとめはリサーチペーパーの結論ですので、それ以外のことは書かないで下さい。
リサーチペーパーを書いた後にすること
文章を書いて満足してはダメです。
必ず最低でも1回はライティングセンターに行き、チェックをしてもらって下さい。
私は提出するレポートが長い時ほど、2回3回とライティングセンターに行って本当に間違いがないか、もっと良くなる箇所はないかをみてもらいました。
そして自分が驚くほどミスをしているのに気づくでしょう。
100点をもらうには、一つのミスも許されません。
まとめ
- 先生の指示に忠実に従う。ワードのフォーマットで減点されるケースがほとんど。
- アウトラインを作り、文章構成を先に考える。書く内容を各段落ごとに決めてから書くことで、内容が重複せず文章にまとまりがうまれる。
- 読み手いると言う事を意識する。他の生徒が考えないような提案(または結論)をすると、ユニークさを評価してもらえる。
- 必ずライティングセンターでチェックしてもらう。何度もいく事でリサーチペーパーの質は上がる。
このページの一番上に書いてあるのが、ジュリー先生からもらったリサーチペーパーのコメントです。
あなたのリサーチペーパーは、今学期私が教えている生徒の中で1番の出来です。読んでいて勉強にもなるし、人を奮い立たせるようでした。
当時は留学初年度ということもあり、自分はアメリカの大学でやっていけるのか不安でしたが、このジュリー先生からの言葉は本当に自信になりました。
計画的に準備し、努力すればアメリカ人よりも良いレポートが書けます。
結果は準備の質によって決まります。皆さんも、計画的に準備すればアメリカ人よりも良い成績を残すのは意外と簡単かも知れませんよ。