アメリカの大学では日本にはないユニークな授業があるってご存知でしたか?
マーケティングの授業では実際にホテルのマーケティング部から人が来てプレゼンテーションをしたり、自分たちでレストランを4時間だけ経営する授業なんていうのもありました。
私が今回紹介するのは法律の授業です。
グループでビデオ作成するプロジェクトがあったりと、アメリカの法律の授業がどんなものなのか見ていきましょう。
もくじ
私の教授紹介
Rate My Professorでは”Level of Difficulty(クラスの難しさ)”が5点満点中4.16になっていますが、確かに今まで受けた授業の中で一番と言ってもいいほど難しいクラスでした。
厳しい時は厳しいので生徒には勘違いされがちですが、基本的にはフレンドリーですし、最後のクラスでは一人一人生徒に手紙を渡すほど優しい教授です。
UNLVで一番長く法律の授業を教えている教授なので、授業もスムーズに進みますし教授の話も面白いです。
クラスの特徴
アメリカの法律に詳しくない留学生にとってこの授業は新しい発見が沢山ありますが、難しいと感じる生徒も多いかもしれません。
アメリカ人の生徒は高校で法律について少し勉強しているためそこまで難しくないかもしれませんが、私たち留学生は遅れを取る分彼ら以上に勉強しないと単位を落とす可能性があります。
このクラスの特徴を挙げるなら以下の3つでしょう。
- 圧倒的なリーディング量
- テストが難しい
- チームプロジェクト(ビデオ作成)
それでは早速一つずつ説明していきます。
圧倒的なリーディング量
教科書の購入が必須のクラスでも、いざクラスが始まると教科書を使わないことが多々ありますが、このクラスは違います。
上の写真は私が実際にクラスで使った教科書です。
レンタルのつもりの教科書でしたが、学期が終わる頃には教科書に書き込みすぎて返却できませんでした。
使っている単語はそれほど難しくありませんが、教授がランダムに生徒を指名し授業中にディスカッションが始まるため、教科書を何度も読み返し内容を頭に叩き込みました。
特に“Case Example”を読んでいないと、クラスで当てられた時に恥ずかしい思いをし、さらに減点されますので注意して下さい。
Case Exampleとは?
アメリカで過去にあった訴訟(そしょう)事例のこと。 実際にあった事例を元にし、法律がどのように改正されていったか学ぶことができる。
この教授はたまに”Pop Quiz(ポップクイズ)”といって、予告なしの小テストも出してくるので、宿題の範囲は教科書を見なくても説明できるくらい熟読しましょう。
テストが難しい
グループで動画を発表する際にスピーチをすることはありましたが、レポート提出も1、2枚しかなく、このクラスの成績はほぼ2回のテスト結果で決まります。
そしてその2回のテストは今まで受けたテストの中で一番と言っても過言ではないほど難しいのです。
私はクラスには全部出席、教科書を熟読してもこの教授のテストは70~80点くらいしかとれませんでした。
ちなみにクラスの平均点は60点くらいです。
なにが難しいかというと、
- 問題が100問あるので時間配分をしないと終わらない
- 教科書に答えが書いてある問題ではなく、応用問題がほとんど
私も4年間の大学生活で、これほど勉強しても70点しか取れないクラスは初めてでした。
座席もテストの日には全てランダムに変えられますし、テスト用紙も問題の順番が隣の席と変わるようになっている徹底ぶりですので、カンニングは諦めた方が良いです。
それでもカンニングする生徒はいましたが、すぐさま見つかり教室から追い出されていました。
あれだけ難しい問題を出されるとカンニングしたくなる気持ちも分かりますが・・・
チームプロジェクト(ビデオ作成)
この授業の一番面白いところはグループで裁判事例の登場人物になりきり、動画を作りプレゼンするというもの。
実際に私達のグループが作った動画がこちらです。
この事例は1988年にキャンプ場の湖で酔っ払いながらボートを漕いでいた男性が、反対側の岸でボートが流されて困っていた二人の女性を助けようとして水に飛び込み、浅瀬だったためその衝撃で首の骨を折り、結果的に両手両足が麻痺になってしまったというものです。
そのことにより原告(ボートを漕いでいた男性)はキャンプ場の所有者である州政府、彼にお酒を販売した湖近くの店を以下の点で訴えました:
- 彼が既に酔っ払っていたのにも関わらずお酒を販売したこと。
- 飛び込み危険というサインがなかったこと。
それに対し判決は、
- 既に酔っ払っていたという判断は難しく、お酒を販売した後の飲酒者の行為に責任を負う義務は販売店にはない。
- 彼は怪我をした時にキャンプ場のゲストではなかった為、キャンプ場(州政府)に責任はない。
というわけで原告は結局裁判に負けてしまうという内容でした。
日本人の考えからすると、“そんなの負けて当たり前じゃないか”と思われるかもしれませんが、この授業では動画を発表して終わりではありません。
“もし怪我をした彼がキャンプ場のゲストだったら結果は変わっていただろうか?”
“もし彼が酔っ払っていなく、ただ善意として女性を助けようとして怪我をした場合はどうなっていただろう?”
と教授から厳しい質問がくるので、あらゆる状況や質問を想定した上で、グループでプレゼンの準備をします。
動画を作るには事例をよく理解していないといけませんし、理解したものをアウトプットすることでさらに法律への理解が深まります。
クラスの感想
チームプロジェクトも多く、チームでビデオ作成をするため交流が深まり友達ができやすいのもこのクラスの特徴でしょう。
学期を通して大きなプレゼンテーションなどはありませんでしたが、その分テストの結果が成績を大きく左右します。
でもあなたがどれだけ真面目に取り組んだかで、成績がアップする可能性があるのもこのクラスならではです。
私の成績は数字だけを見るとC評価になるはずでしたが、通知表をみるとA評価になっていました。
簡単なクラスが良いクラスで、難しいクラスが悪いクラスと言うわけではなく、難しいクラスの方が努力するので卒業してからも知識として頭に残ります。
A評価という紙をもらいに学校へ行くのか、知識を養いに学校へ行くのか。
そう考えると、法律の授業は今まで受けた中で一番難しかったかもしれませんが、一番勉強になったクラスとも言えるでしょう。
まとめ
- HMD401はUNLVで受けれるホスピタリティ業に関連した法律の授業。
- 授業中に教授がランダムに生徒を指名し、教科書の内容についてディスカッションが始まるため教科書の熟読が必須。
- グループで裁判事例の登場人物になりきり動画を作りプレゼンテーションをする。
- テストが応用問題ばかりで難しいが、授業態度によって教授が成績を上げてくれることがある。
- 4年間で一番大変だったが、一番勉強になったクラスがHMD401。
私は短大CSNを2年で卒業し、その後UNLVに編入しました。
UNLVでは専門的な授業や、ユニークな授業が多く、図書館にこもって勉強ばかりの2年間でしたがとても充実していたと思います。
こちらの記事ではUNLVで受けた他の面白い授業を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。