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【英語でのスピーチを極める】世界141か国に16,400クラブ、約35万人の会員が活動するトーストマスターズとは?

トーストマスターズ 発表

プレゼンやパブリックスピーキング(人前で話すこと)が大人になってからも苦手と言う人は多いのではないでしょうか。

日本の会社員1,000人を対象にした調査では、44.3%が人前で話すのが苦手と答えています。

人前でうまくスピーチをしたいけど、時間もないし、スピーチのレッスンは高いしなぁ...”

と思っている方。朗報です。

今回はそんなあなたに“トーストマスターズ”を紹介します。

トーストマスターズとは?

トーストマスターズ リーダー

「トーストマスター?パンですか?」

と思う方もいるかと思いますが、トーストマスターは英語で“乾杯の音頭をとる人”を指します。

そこから派生して、大勢の前でも上手にスピーチができる人の事をトーストマスターと呼んでいるのです。

正式名称を”Toastmasters International(トーストマスターズ・インターナショナル)”といい、コミュニケーション力、パブリックスピーキング力、
リーダージップの向上を目的に1925年にアメリカで設立された非営利団体です。

18歳以上であれば誰もが入会でき、1クラブ20~30人からなるクラブが世界141か国に16,400クラブが存在し、約35万人の会員が活動しています。

日本だけでも約200クラブ(日本語、英語、その他外国語)、約4000人以上の会員が存在します。

日本でも毎年クラブ数、会員数は増加しており(世界で上位20%の伸び率)、2017年-18年度(2017年7月1日~2018年6月30日)にはアメリカ本部からその会員伸び率、新クラブの設立数を讃えられ、日本トーストマスターズが表彰を受けました。

非営利団体と言っても無料ではなく、半年間で$45を支払い、入会時だけ$20が加算されます。

ここで集められたお金は、各クラブの運営費(場所代、書類代など)、システムのメンテナンス費などに当たられるため、トーストマスターズの代表が儲かると言うシステムではありません。

あくまでもトーストマスターズは”Toastmastes: Where Leaders Are Made(トーストマスターズ:リーダーが生まれる場所) ” をモットーに掲げ運営される非営利団体です。

アメリカでは会員も学生から、起業家、政治家までと幅広く、年齢、人種に関係なく様々なバックグラウンドを持った人たちが自分のスキルを磨こうと切磋琢磨しています。

日本トーストマスターズの公式サイトに載っている紹介動画をぜひご覧ください。

トーストマスターズで行われること

トーストマスターズに入会すると、自分の登録したクラブミーティングに参加することができます。

クラブによって、場所、参加者の数、ミーティングの頻度は違いますが、各ミーティングですることに大きな違いはありません。

私が登録しているクラブZ’Toastersは、Zappos(靴のネット通販会社)のミーティングルームを使い、毎週木曜日の午後6時から7時まで、1時間のミーティングが行われます。

こちらが先日行われたミーティング内容です。

ミーティング トーストマスターズ

レクチャー講師などは存在せず、参加者がミーティングごとによって役割担当を変えていきます。

トーストマスターでは以下のように様々な役割が存在します。

  • Sgt at Arms Opens Meeting
  • President Officer
  • Toastmaster
  • Joke of the Day
  • Grammarian
  • Wizard of Ah’s
  • Timer
  • Speaker
  • Table Topics Master
  • General Evaluator
  • Evaluator
  • Old/New Business

役割によって簡単なものから経験が必要なものまでありますが、どんな役割を選んでもほぼ必ずみんなの前で話す機会を与えられるのが特徴です。

また人数が足りない場合は1人2~3役することもあります。

それでは早速各役割を見ていきましょう。

Sgt at Arms Opens Meeting

この役割は、ミーティングルームの設置、参加者の誘導、そしてミーティングを開始する先導者をします。

参加者に起立してもらい、全員でアメリカの旗にむかって忠誠を誓う文句、"The Pledge of Allegiance"を唱えます。

I pledge of allegiance, to the flag, of the United States of America, and to the Republic, for which it stands, one nation, under God, indivisible with liberty and justice for all.

私はアメリカ合衆国の国旗と、その国旗が象徴する共和国、神のもとに統一さ れ全ての人々に自由と正義が約束された不可分の国に忠誠を誓います。
訳「eigo Town.com」より

これはアメリカ人が国への忠誠を誓うため、幼い頃から学校で暗記させられる文句らしいです(どおりでアメリカ人は愛国心が強いはず)。

President Officer

ここでは基本的に各クラブの主催者が、新しいメンバーの紹介や、1日体験で来たゲストを紹介します。

Toastmaster

ミーティングの司会を担当します。各役割担当者を紹介したり、1日の大まかな流れを説明します。

一通りここまでは、各クラブの主催者が行うことが多いです。

Joke of the Day

この役割の人は、事前に考えて来たジョークを発表します。

新メンバーが多いと皆緊張していて、重たい雰囲気からミーティングが始まることもありますが、ジョークを言うことで会場の雰囲気が一気に明るくなります(つまらないジョークでも皆優しいので笑ってくれますよ)。

Grammarian

この役割を担当する人は、スピーチ発表者の文法が正しいか、単語が正しく使われているかをチェックします。

一番大切な役割は、”Word of the Day(今日の言葉)”を発表すること。

事前に調べて来た単語の意味、どのような場面で使われるかを紹介します。

ミーティング中は参加者全員が、出来るだけ紹介された単語を自分のスピーチの中で使うよう努力しなければいけません。

簡単な単語ならいいですが、難しい単語だと英語がネイティブの人でも使うのに苦労します。

またこの役割の人はその単語がその日のミーティングで、誰がどのくらい使ったかを数え、最後に発表します。

Wizard of Ah’s

誰もが話す時に無意識で使ってしまうのが、「えーと」「あのー」のようなフィラーワード(つなぎ表現)です。

特に緊張するとフィラーワードを使いがちですが、このような言葉は聞き手の理解を妨げるだけでなく、大事なプレゼン、大勢の前での発表で使うと話す内容に信憑性が欠けてしまいます。

そんなフィラーワードをチェックするのが、Wizard of Ah’sの役割です。

各発表者が意味もなくフィラーワードを何回使っているかを数え、最後に発表します。

Timer

その名の通り、各発表者の時間を計る人です。

即興スピーチは1分以上2分未満、準備スピーチは5分から7分と最短・最長時間が各テーマごとに制限時間が決められています。

どうしても人間緊張すれば早口になってしまいますし、話すのが好きな人は人前でも永遠と話していられるでしょう。

トーストマスターは開始・終了時間に厳しく、ミーティングが遅れることや長引くなんてことはほぼありません。

そんな時間厳守のトーストマスターですから、この役割の人は時間を計るだけでなく、発表中に緑のカード(最短時間話した時)黄色いカード最短と最長の間)、赤いカード(最長時間に達した時)を出して、発表者に合図を送ります。

赤いカードが出てから30秒以上話すと、強制的に終了されます。

Speaker

その日のメインイベントの一つ、準備してきたスピーチを発表する人です。

テーマ、時間制限がそれぞれの熟練度によって決められていて、事前にインターネット上で自分が話すテーマ・トピックを決めます。

新人メンバーはここで“Ice Breaker Speech(自分を知ってもらうためのスピーチ)”を行います。

トーストマスターで長く活動していれば、調査した内容をデータ共に発表したり、物語口調で発表しなければいけないスピーチなど難易度が上がっていきます。

Table Topics Master

この担当者は、即興スピーチの司会進行をします。

ランダムに発表者を決め、その場でテーマを読み上げ、1分から2分の間で各参加者に発表してもらいます。

1日のミーティングで約3名の発表者がランダムに選ばれますがテーマを選ぶ方法も様々で、参加者にくじを引いてもらったり、アメリカの中華料理店でもらえる”Fortune cookie(中に運勢が書かれているクッキー)”でテーマを選んでもらうこともあります。

即興スピーチの参加者は役割が与えられていないメンバーや1日体験で来たゲストの中から選ばれることが多いので、1日何も喋らずに終わると言うことがトーストマスターではほとんどありません。

アメリカ人でも人前で即興スピーチをすると緊張して何も話せない人もいますし、準備スピーチをするのと同じくらいの難易度があります。

General Evaluator

General Evaluatorは準備スピーチの審査を行うEvaluator、今日の単語を誰が使っていたかを発表するGrammarian, フィラーワードの数えたWizard of Ah’s, そして各発表者の時間を測ったTimerの紹介をします。

ここでの担当もクラブの主催者が行うことが多いです。

Evaluator

準備スピーチをしたSpeakerを2分から4分の間で評価するのがこのEvaluatorです。

個人的にはこの役割の難易度が一番高いと感じます。

  • 発表者の良かった点をまとめる。
  • 発表者の改善点をまとめる。
  • それを2分から4分という時間制限内で発表。

と、即興スピーチと準備スピーチの両方の面を合わせたのがこのEvaluatorの役割。

発表者も時間をかけて準備しスピーチをしているので、雑に評価するわけにもいけませんし、発表者の為を思って改善点を述べるには癖を見抜く観察力が必要になってきます。

発表者がいいプレゼンをすればするほど、このEvaluatorの役割は難しくなって来ます。

Old/New Business

ミーティング最後の締めの部分です。

クラブの主催者がその日の感想や今後のクラブミーティングに関わる連絡をします。

時間にゆとりを持って議題が作られているため、予定終了時刻までにミーティングが終わることがほとんどです。

トーストマスターズのメリット、デメリット

トーストマスターズ 発表

毎週英語を人前で話す練習が出来る

友達と話す時は英語がスラスラ出てくるのに、人前でとなるとなかなか喋れないと言う人も多いのではないでしょうか。

スピーチというのは、沢山レクチャーを受けても、本を何十冊読んでもあまり意味がなく、自分で場数を踏まなければ身につかないスキルです。

日本に住んでいても、毎週英語でパブリックスピーキングが出来る環境はあまりないのではないでしょうか。

コスパが良い

半年間で$45(約5,000円)ということは、一週間に一回あるミーティングに参加するのに約200円の費用しか掛からないということです。

スピーチを習うセミナーに参加すると2-3日で何十万円という費用が掛かることもありますし、何よりスピーチというのは2-3日で上手くなるということはありません。

スピーチで大事なのは、継続することではないでしょうか。

1年間毎週のように参加しても約1万円というのは、本当にパブリックスピーキングスキルを向上させたいと思うあなたにとって、悪い話ではないと思います。

身のある失敗が出来る

スピーチの才能を持って生まれてくる人なんていないと思います。

スピーチは何度も失敗、恥ずかしい思いをして上達していくものですし、日本語が母国語の私たちが英語でスピーチをして失敗しない方が不可能です。

トーストマスターズはそんな失敗を受け入れてくれる場所です。

会社のプレゼンで失敗するのと、トーストマスターズで失敗するの、あなたはどちらを取りますか?

私は絶対に後者です。

上の立場に行けばいくほど、人前で話す機会は比例して多くなります(特にアメリカ)。

トーストマスターズで失敗することは、自分のキャリアで失敗しないための準備なのです。

さらにトーストマスターズで失敗しても、それを励ましてくれる同じ志を持った仲間がいます。

失敗してもお互いに励まし高め合える環境というのはトーストマスターズならではないでしょうか。

アメリカでは会社からも評価される

トーストマスターズ先進国のアメリカではトーストマスターズに入会していることがステータスですし、履歴書に書くこともできます。

やはりアメリカの会社ではプレゼンの機会が多く、プレゼンの出来(アウトプット)で仕事ができる人間かを判断されます。

私が入会しているクラブでも、上司からトーストマスターズを紹介されたメンバーが多くいます。

上の立場につくためにトーストマスターズの入会を義務付けている会社や、会社の中だけでトーストマスターズのクラブを持っている所もあるというのですから驚きです。

やはりそれだけアメリカの会社では、パブリックスピーキング能力がリーダーシップに影響してくるのでしょう。

アメリカで成功したいのであれば、人前で話す能力は必須とも言えます。

デメリット

メリットばかりで、デメリットは何か?と思われる方も多いかもしれませんが、正直デメリットは思いつきません。

あえて言うならば、自分の都合に合ったクラブを見つけるのが大変で、見つけたとしても少しの移動を強いられるかもしれませんが、特に弊害にはなりません。

まとめ

  • トーストマスターズとはコミュニケーション力、パブリックスピーキング力、
    リーダージップの向上を目的にアメリカで設立された非営利団体。
  • 1クラブ20~30人から構成され、全世界に35万人の会員数(日本では4,000人)。
  • ミーティング内で様々な役割があり、役割担当は毎週変わる。
  • スピーチの向上には継続することが必須。それを助けてくれるのがトーストマスターズ。

私も入会して3ヶ月とまだまだ新人ですが、入会前との変化を身を持って感じています。

社内で従業員に話す時にもトーストマスターズで学んだスキルが生きて来ますし、コミュニケーションが円滑になることで仕事の効率が増しました。

アメリカ生活6年目の私ですが、スピーキング力はまだまだ向上出来ると感じます。

ネイティブのように英語を話せること目標に、トーストマスターズでの練習・失敗はまだまだ続きそうです。

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ムネ

ネバダ州立大学ラスベガス校卒。現地の会社からE2ビザを取得しラーメン屋店長になるも、2年後にコロナで解雇。ロスに引っ越すもそこで不法滞在となる。日本への一時帰国を経て現在はサンディエゴのレストランで働いています。 Facebookページから最新記事をお知らせ
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