アメリカでアスレチックトレーナーとして働くには、NATA(全米アスレティック・トレーナーズ協会)が主催する国家試験に合格し、ATC(Certified Athletic Trainer)と認定されなければいけません。
今回の記事では、国家試験に合格しアスレチックトレーナー(略AT)として活躍するまでに必要な以下5つのステップを紹介します。
- 大学入学・必修教科の単位を取得
- アプリケーションを提出
- 入部試験に合格
- 規定時間以上のインターンシップ
- 国家試験に合格・大学卒業
今回協力してくれたのはこの方
伊東 慧吾(いとう けいご)さん
アスレチックトレーナーになるため高校卒業後にラスベガスの短大に留学。その後4年制大学に編入し、アスレチックトレーナー学部を卒業。現在はATとしてアメリカで活躍。
これまでの在籍校
・College of Southern Nevada (2014~2015)
・University of Nevada, Las Vegas (2016~2020)
もくじ
ステップ1:大学入学・必修教科の単位を取得
ATとして働くための最初のステップは、CAATEが認めるアメリカの4年制大学、もしくは大学院にあるアスレチックトレーニング学部に入学することです。
CAATEとは?
Commission on Accreditation of Athletic Training Education(アスレティックトレーニング教育認定委員会)とは、各大学のアスレチックトレーニングプログラムを管理する団体。
CAATEに認定されているのは全米に350校あり、プログラムの期間、費用は各学校によって異なる。
CAATEホームページから現在認定されている学校を検索することができ、費用別や学校のレベル別など自分に適した学校を調べることが出来る。
NATA(全米アスレティック・トレーナーズ協会)は2022年からアスレチックトレーニングプログラムを4年制大学から大学院へ完全移行することを発表しました。
したがって日本の高校または専門学校を卒業して留学する方は、大学院の修士課程を修了しなければATになるための国家試験を受けることが出来ません。
また大学・大学院に入学してからすぐにアスレチックトレーニング学部に入れるわけではなく、Pre Requirement(プレ・リクワイアメント)と呼ばれる必修教科の単位を取らなければいけません。
必修教科の例
- General Education(英語、算数、音楽などの一般教養)
- Biology(生物学)
- Nutrition(栄養学)
- Kinesiology(筋肉学)など
必ずしも最初から4年制大学に入学しなければいけないというわけではなく、多くの日本人留学生がCommunity Collge(短大)で一般教養や他の必修教科の単位を取り、学費を節約しています。
ステップ2:アプリケーションを提出
ステップ2ではアスレチックトレーニング学部に入るために必要な条件を確認し、満たしていきます。
(※条件は各学校によって異なります。)
オリエンテーションの参加 | 1時間のオリエンテーションに参加し、学部と入部試験を受けるまでの説明を受ける |
2.75以上のGPA | 今までの成績が2.75以上必要 |
推薦状 | 家族、友人以外の2人から推薦状の提出 |
エッセイ | (質問内容)自分が思うATの定義、なぜATになりたいか、卒業してから5年後のビジョンなどをエッセイに記入 |
現場実習経験 (加点) | インターンシップ、CPR(心肺蘇生法)の資格などは必須ではありませんが、入部試験の加点にされる |
ステップ3:入部試験に合格
ステップ3ではアスレチックトレーニング学部に入るための試験を受け、合格します。
試験内容は大きく2つに分かれます。
- 1次試験(筆記試験100点+GPA×25点)
- 面接試験
面接試験では以下のような質問をされます。
- ATになりたいと思った動機
- あなたの長所と短所
- あなたが学部に入ることで、学部にどんな利益があるか
- 学部に入るまでにどんな努力をしてきたか
- アスレチックトレーナーとしてのビジョン
- 英語を第二言語としてどうやって勉強してきたかなど
(※質問内容は各学校・面接官によって異なります。)
ステップ4:規定時間以上のインターンシップ
アスレチックトレーナー学部は5学期あり、学部として必修クラスは12~14単位で、筋肉の動きを学ぶ解剖学、怪我の種類や病理、どういったケースではどんな怪我が起きるのかなど、ATとしての基礎知識やその処置法を学びます。
授業形態は座学と実習授業のハイブリットで、座学で学んだ事を実習授業でクラスメートとパートナーを組み練習しますし、ATには実践経験が求められるため、午前中は学校で授業を受け、午後はそれぞれのインターン先で実習を受けます。
インターン先での実習時間は、アスレチックトレーナーの国家試験を受けるための受験資格の1つになりまます。
現場実習先の例
- 大学スポーツ
- 高校の部活
- プロサッカーチーム
- PTクリニック(理学療法士)など
ステップ5:国家試験に合格・大学卒業
アスレチックトレーナーと活躍すための最後のステップはBOC(Board of Certification Exam)と呼ばれるアスレチックトレーナーの国家試験に合格しなければ行けません。
この国家試験は1年間に4度開かれるため、一度試験に落ちてもまた受け直すことが出来ます。
国家試験に受かることも大切ですが、学部を卒業出来なければ認定アスレチックトレーナーとして働くことは出来ません。
クラスの成績が悪かったり、一度でも単位を落としてしまうとアスレチッックトレーニング学部から除籍させられてしまうので注意してください。
国家試験に合格し、その後無事に卒業出来れば、はれてATとして働くことが出来ます。
アスレチッックトレーニング学部の感想
またラスベガスというエンターテイメントに特化した土地柄、シルクドソレイユなどのショーにもATがいるので、スポーツだけではなく、エンターテイメントの分野でATがどのように活躍しているのか見学出来るのも面白かったです。
まとめ
- ステップ1:CAATEが認定する学校へ入学し、必修教科の単位を取得する(短大で単位を取ることで学費を節約できる。
- ステップ2:アスレチックトレーニング学部に入るために必要なアプリケーション(オリエンテーションへの参加、推薦状など)を満たす。
- ステップ3:入部試験に合格する(筆記試験100点+GPA×25点で決まる1次試験と面接試験)。
- ステップ4:学部での授業の他に、規定時間以上のインターンシップをする。
- ステップ5:国家試験に合格し、学部を卒業する。
今回は現役ATの伊東慧吾さんに協力してもらい、アメリカでアスレチックトレーナーになるまでの5ステップを紹介しました。
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「初めは根拠のない自信から」アスレチックトレーナー 伊東 慧吾さん
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