あなたはSmall Talk(スモールトーク)という言葉を聞いたことがありますか?
Social conversation about unimportant things, often between people who do not know each other well
日本語では「特にお互いを良く知らない人の間で行われる、重要ではない社交会話」という意味になります。
あくまで「重要ではない会話」なので、天気のこと、最近の出来事などが挙げられます。
日本では初対面の人がフレンドリーに会話を始める文化はありませんが、アメリカでは「元気?」や「最近どう?」、「学校/仕事は忙しい?」のように初対面同士でも会話が始まることが多いです。
スモールトークは日本ではそれほど重要視されていませんが、アメリカで成功するには非常に大事なスキルだと知っていましたか?
初対面の人とでも上手に話したい人へ、洋書「The Science of Effective Communication」で紹介されているスモールトークが上手くなるテクニックを紹介します。
もくじ
なぜこのスキルを身につける事が大切なのか
多くの日本人には抵抗感がありますが、なぜこのスモールトークに慣れることがアメリカで上手に立ち回る為に重要なのでしょうか。
特に意味のない会話がほとんどなので、私は時間の無駄だと思い日頃から避けていましたがこれは大きな間違いでした。
「The Science of Effective Communication」ではスモールトークを「情報交換のための会話」ではなく、「お互いのバリアを取り除くための会話」だと定義しています。
あくまで目的は話し相手が会話を保てる人間だと確かめることであり、"トークの中身"よりも"あなたの人柄、基礎的なトーク力"を相手は観察しています。
特にアメリカでは人脈を作る(色んな人と繋がる)ことが出世するためには必要不可欠であるため、会社内またお客さんとも世間話をするのが当たり前になっています。
アメリカ社会でキャリアを積むには仕事が出来るかよりも、周りとコミュケーションを上手に取れるかが重要です。
Small Talkテクニック1:FORDメソッド
ではどうしたら初対面の人でも上手に話せるのでしょうか。
話すことがなくなった時、本の中では会話を盛り上げるテクニックの一つとしてFORD(Family, Occupation, Recreation, Dreamsの頭文字)メソッドを紹介しています。
Family(家族)
家族については、会話を盛り上げるための世界共通の話題ではないでしょうか。
「兄弟はいるの?」
「家族と一緒に住んでいるの?」
と言った簡単な質問をしても良いですし、
「デイビット教授って私のおじさんにそっくりなの、どっちも面白いけど話がいつも長い!」
というように自分の家族の話をシェアすると、そこから話が広がります。
注意したいのは家族と仲良くない人や絶縁している人もいるので、
「家族と上手くいっているの?」
といった深堀りした質問は、変な空気になってしまう恐れがあるため避けましょう。
Occupation(仕事)
Occupationは仕事のことを指します。
まだ仕事をしていない学生であれば、学校のことでも構いません。
仕事をしていない人・学校に行っていない人、どちらでもない人は稀だと思いますので、こちらも会話のネタにするのは適しています。
注意したいのは、質問ばかりして面接のような状況にならないこと。
「どこで働いているの?」
「どのくらい働いているの」
「休みはいつ?」
「なんでその仕事をしようかと思ったの?」
あくまでスモールトークは楽しい世間話なので、質問ばかりではなく相手の答えに対し自分の思ったこと、相手の話と関連する自分の経験談を話すことが大事です。
もし話し相手が看護師だと分かったら、
「看護師って本当に尊敬する仕事だよ、命に関わるから大変な仕事だよね。」
「私5年前に足の骨を折って入院してさ、その時に看護師には本当にお世話になったよ。看護師を見てて思ったけど勤務時間長いよね?」
このようにお互いが共感できる話に繋げると、言葉のキャッチボールが生まれやすくなります。
Recreation(趣味)
Recreationとは趣味や、空き時間にしていることを指します。
「趣味はなに?」
「休みの日はなにしているの?」
といった質問も会話を盛り上げるには有効です。
もしあなたに趣味がなくとも、何か好きなこと、得意なことでも良いので話のネタを探しましょう。
日本人の多くがやりがちなのが、謙虚になったつもりで自分をつまらない人間だと自虐的に表現してしまうこと。
「俺は何も趣味ないんだよね」
「休みの日は何もしないでずっと家にいる」
このような答えから会話はなかなか続かないので、止めたほうが良いでしょう。
あくまでゴールは話を盛り上げることなので、自分から「つまらない/おもしろくない人間」とレッテルを貼る必要はありません。
Dreams(夢)
最初の3つよりも難易度が高いのが夢や目標についての会話です。
スモールトークの中でも一番深い話が出来て、お互いの距離を縮めることができますが、この話をするタイミングには注意が必要です。
初めて会った相手に、
「誰にも言っていないあなたの夢って何?」
なんていきなり聞いてしまうと、変な雰囲気になってしまうことは想像できますよね。
スモールトークでお互いのことを知り、ある程度信頼ができた時に夢や目標についての会話は、お互いの仲を深めるのに適しています。
また自分の夢を先にシェアすると、相手も自分のことを話してくれることが多くなるでしょう。
Small Talkテクニック2:褒め言葉
嘘偽りのない、本心からくる褒め言葉を言われて嫌な人は少ないでしょう。
曖昧な言葉(Smart, Nice, Goodなど)ではなく、何が良いと思ったのか詳細に伝えることが重要です。
もし字を綺麗に書く人がいたら、「あなたのこの文章の字、すごい上手だね。書道家の人みたい」と素直に言ってあげてください。
相手は字が綺麗なんて思っていないかも知れませんが、褒め言葉はあくまで自分が思った相手の長所なので、もし間違ったことを言ったらどうしようと考えなくて大丈夫です。
事実は見方によって変わるので、間違いを恐れずあなたが良いと思ったことを伝えましょう。
そして外見ではなくその人の行動や性格を褒めるように意識しましょう。
特に女性の外見を褒めると、いやらしい意味や気持ち悪い奴だと勘違いされる可能性があるので注意してください。
✖️ You're pretty. 可愛いね。
✖️ You're hot. 魅力的だね(性的意味合いが強い)。
◎ You're so kind to help me out at the meeting. さっきのミーティングで助けてくれるなんて本当に優しいな。
というように外見ではなく、その人の中身や行動を褒めた方が誤解されませんし、相手もそちらの方が嬉しいのではないでしょうか。
もちろん例外はあります。
パーティーで自分の好奇心を相手に伝えたい場合や、新しい髪型、アクセサリーを褒める場合は外見を褒めて良しとされています。
また相手のことを褒めてから質問をすると、話が続くようになるでしょう。
先ほどの字が綺麗な人であれば、
「あなたのこの文章の字、すごい上手だね。書道家の人みたい。どうやって習ったの?」
このように最後を質問で終わると、相手は悪い気持ちになりませんし、話を盛り上げることができます。
まとめ
- Small Talkとは、特にお互いを良く知らない人の間で行われる、重要ではない社交会話。
- アメリカでは人脈を作ることが出世するためには必要不可欠であるため、スモールトークが出来るかどうかはあなたのキャリアに影響してくる。
- 話を盛り上げたい時に使えるのがFORD(家族、仕事、趣味、目標)メソッドや褒め言葉。
- 重要なのは、話し相手が会話を保てる人間だと確かめることであり、トークの中身よりもあなたの人柄、基礎的なトーク力を相手は観察している
バスで隣になった初対面の人と話を始めるなんて日本では考えられませんが、アメリカではそのような光景が頻繁に見られます。
私もまだ完璧とは言えない、このSmall Talkのスキル。
本を読んだりして勉強し、初対面の人と話しては思うように行かず失敗してばかりですが、諦めずに練習しています。
スモールトークに慣れることで、あなたの人脈が広がることは間違い無いでしょう。
【今回読んだ本】