4年間のアメリカ大学生活で受けた授業の数は40以上。
少なくとも100枚以上のレポートを提出しました。
そんな私が英文を書く上で一番意識したのは”文法間違いが一つもない文章”です。
なぜ文法間違いをなくすことが重要なのでしょうか?
それはあなたのレポートは”伝えたい”メッセージではなく、”伝わった”メッセージで評価されるからです。
- 文法間違いをなくすことがなぜ大切なのか?
- 先生は無意識にあなたのレポートを評価している?
- 添削されることが文章力アップに繋がるのか?
このあたりを今回の記事では深掘りしていきます。
もくじ
文法は読み手を思いやる心
英語のレポートを書くとき、「この文章を誰かが読むんだ」と意識することが大切です。
文章を書く上で一番大切なのは、誰も知らないような単語を使うことでもなく、難しいことわざを使うことでもありません。
一番大切なのは、”どれだけあなたの文章が読みやすいか”ということです。
まずはこちらの文章を読んで下さい。
サクラマスとヤマメは同じ魚だって知っていましたか?
桜の咲く時期に河川へ帰還することからサクラマスという名前がつきました。
結局最終的には一年後に幼児を産むために生まれ育った川に戻るのですが、サクラマスと呼ばれるヤマメは餌を求めて海へと下ります。
川は生存するための競争は厳しく収穫できる餌の量も限られているため大海原(おおうなばら)の方が敵は多いですが餌は沢山あるのです。
海へ出たヤマメ(通称負け組ヤマメ)は川に残ったヤマメより3倍以上大きなヤマメになります。
さてこの文章が何を言いたいか理解できたでしょうか?
何度も読み直しませんでしたか?
一生懸命理解しようとして頭を使いませんでしたか?
続いて先ほどと同じ内容ですが、文法を整えた文章を読んで下さい。
サクラマスとヤマメは同じ魚だって知っていましたか?
川での生存競争は厳しく、獲れる餌の量も限られているため、餌にありつけなかった通称“負け組ヤマメ”は餌を求めて海へと下ります。
海へ出ると敵も多いのですが餌も沢山あるので、大海原(おおうなばら)で生活するうちに体がどんどん大きくなっていきます。
そして海へ出てから一年後に、“負け組”と呼ばれたヤマメ達は “勝ち組ヤマメ”よりも3倍以上大きな体になって、赤ちゃんを産むために故郷の川へ戻って来ます。
そんなヤマメは桜の咲く時期に川へ戻ってくることから、私たちは“サクラマス”と名付けました。
さっきの文章よりも内容がスムーズに頭に入って来たのではないでしょうか?
最初の文章がなぜ読みにくいかと言うと、以下のような理由が挙げられます。
- 時系列がバラバラ
- 読点(、)が少ない
- 言葉が重複している(何度もヤマメ、ヤマメ、ヤマメ)
- 余分な言葉が多い(”結局”と”最終的”は同じ意味)
- 難しい言葉を使おうとしている(”河川へ帰還”など)
「あんな変な文章ふつうは書かないよ」と思っているかもしれませんが、多くの人が英語でレポートを書くときに、無意識で同じような間違えをしています。
最初の文章のように、あなたの伝えたいメッセージがどんなに素晴らしくても、文法がバラバラでは読み手には伝わりません。
こんな文章のままレポートを提出してしまうと、読み手の先生は添削するので頭がいっぱいになってしまい、話の内容が頭に入りません。
逆に文法間違いがないと、先生はあなたのメッセージをすんなりと受け取ることができます。
文法間違いをなくすことは読み手への思いやりということを忘れないで下さい。
先生は無意識にあなたの点数を決めている
あなたは認知バイアスという言葉を聞いたことがあるだろうか?
認知バイアスについての研究学者の1人、ダニエル・カーネマン(略カーネマン)はある時こんな体験をしました。
学生は2つのレポートを提出し、カーネマンは以下の手順で採点した。
A君のレポート1と2を採点→B君のレポート1と2を採点、C君の・・・
この採点方法が正しいのか考えたカーネマンは、次に以下の手順で採点した。
A君のレポート1、B君のレポート1、C君のレポート1を採点→A君のレポート2、B君の・・・
すると最初の手順に比べ、レポート1の点数とレポート2の点数が大きく異なる生徒が多くなったのです。
二つの方法でなにが起こったのでしょうか?
カーネマンの頭の中では、もしA君の採点したレポート1が良くできていれば、レポート2でA君が論理的ではない文章を書いたとしても、「彼のことだから何か深い意味があるのだろう」と思い込んでしまう認知バイアスが働いていたのです。
無意識のうちにレポート1の結果がレポート2の採点に影響してしまうのが認知バイアスであり、これはあなたの先生がレポートを採点するときにも起こっています。
あなたのレポートが常に文法間違いがなく、読みやすく書かれていたら、先生はちょっとくらいの間違えには気付かなくなるということです。
逆にもしあなたのレポートが今まで文法がめちゃくちゃだったとしましょう。
ある時あなたは心を入れ替え、周りの人から指摘をしてもらい、文法間違いのないレポートを提出するのです。
それを見た先生が最初に頭に浮かぶのは何か?
(こいつインターネットから文章を引っ張ってきたのかな・・・)
ここまで思わなくとも、他の人のレポートより注意深く文法間違えを探すのではないでしょうか。
いや、無意識の内にそうしてしまっているのです。
なぜならあなたには文法がめちゃくちゃだったという前科があるから。
レポートは常に添削をしてもらってから提出する方が、先生に良い印象を与え成績が上がりやすいのではないでしょうか。
添削された文章は自分の文章じゃない?
ここまで聞いたあなたはこんなことを思うかもしれません。
「でも添削してもらった文章って、もはや自分の文章はないのではないか?」
「自分が目指しているのは先生から良い評価をもらうことじゃなくて、書く能力をあげることなんだけど。」
確かに私も今まで何度もそう思ったことがありました。
なんか添削してもらうことは悪いことをしているようで、罪悪感があったのです。
でも今はそう思いません。
私がハッキリ言えるのは、インターネットなどから人の文章を丸写しするのは自分の文章ではありませんが、添削してもらうことはあくまで自分の文章です。
自分の文章を誰かに読んでもらい、良くしていこうという行為はなにも悪いことではありませんし、添削を繰り返すことで自分の間違いやすいパターンに気づくことができるのです。
私もライティングセンターに毎日のように通うことで、留学生でも100点のレポートを書けるようになりました。
最初から完璧に文章を書ける人などいません。
あなたが英語で文章をうまく書きたいのならば、文章を人より多く書き、プロの人に添削してもらい、間違いを少しずつ直していくしか方法はありません。
まとめ
- 伝えたいメッセージがどんなに素晴らしい内容でも、文法がバラバラでは読み手には伝わらない。
- レポートを評価する先生は、無意識のうちにあなたの過去のレポートを判断材料に入れている。
- 英文のレポートは提出する前にプロの人に添削してもらうことが必須である。
- 添削を繰り返すことで自分の間違いやすいパターンに気づき、読みやすい文章が書けるようになる。
アメリカの大学では全てのクラスでレポートを書く機会があります。
文法間違いのない文章を書きたい、良い点数を取りたいと思うなら、ライティングセンターで添削してもらうことが重要です。
ほぼ全ての学校にあるので、ぜひ一度ライティングセンターを利用してみて下さい。
ネイティブより上手な文章を書くのも夢ではありませんよ。